OD(起立性調節障害)再考              コロナうつについて

ODについては以前紹介している。ODは結構多くて小中学生に多く、中学生の1割はいるという。ODがあると朝目が覚めて、起き上がるときに本来なら血圧が上がって、脳に行く血流が充分いきわたり、ふらふら、めまいなど起こりようがないのだが、血圧が多分交感神経の失調により充分上がらないため、ベッドから起き上がり、頭が心臓より上に移動すると上記の症状がおこり、非常に不愉快な思いをし、朝から調子が悪く、起き上がれず(親とバトルになることも)、時には不登校につながる場合もある。元々の血圧が100以下など低めの人と、全く正常の人といる。
最近、ODの子に児童うつ病を合併している子が増えているという。
小児科ではODとしかいわれず見逃されているケースが結構あるという。朝弱い子の一部に児童うつ病(コロナうつ病)があるということを知っておきましょう。これについては児童うつ病に詳しく述べています。

ODの診断基準は以下のとおりである。

(1)OD症状
1.立ちくらみやめまい
2.起立時の気分不良や失神
3.入浴時や嫌なことで気分不良
4.動悸や息切れ
5.朝なかなか起きられず午前中調子が悪い
6.顔色が青白い
7.食欲不振
8.腹痛
9.倦怠感
10頭痛
11.乗り物酔い

(2)ODのサブタイプ
1.起立直後性低血圧
2.体位性頻脈症候群
3.血管迷走性神経性失神
4.遷延性起立性低血圧
5.脳血流低下型(起立性循環不全型)
6.高反応型
具体的に医療機関ではどのようにODの診断を進めるのか、その手順についてフローチャートを参照しながら説明しましょう。
残念ながら著作権でみられず。上の11項目が参考になります。
上記のOD症状のうち、3つ以上が当てはまれば、医療機関では、問診、診察、基本的な血液検査、内分泌学的検査、検尿、胸部レントゲン検査(あるいは心臓超音波検査)、心電図などを必要に応じて実施します。

ODでは通常、これらの検査で異常がありません。
これらの検査で異常が見つかれば、別の病気がないか、さらに精密検査を行うことになります。別の病気が見つかれば、ODより優先してそちらの病気の治療を行います。
OD症状のうち、「2.起立時の気分不良や失神」があれば、失神を起こすほかの病気(てんかんや不整脈など)がないか、別の検査を行います。

これらの検査で異常がないならば、起立性調節障害の可能性が高くなりますので、「新起立試験」という検査を実施します。
注:シェロングテストともいう

「新起立試験」は、起立性調節障害ガイドラインにしたがって医療機関が実施します。実施方法についての詳細はここでは割愛しますが、4つのサブタイプを診断することができます。

OD症状のうち、2.起立時の気分不良や失神、があれば、ヘッドアップティルト試験を行うこともあります。これも医療機関で実施します。

新起立試験は、午前中に実施することがポイントです。ODでは午後には体調が回復し、検査が正常化することがしばしばあります。

一定の条件や日時によって測定結果が変わりますので、1回の検査で異常がない場合に再検査することもあります。

再検査をしても異常がない場合は、起立循環反応の異常が少ない可能性があります。それにもかかわらず体調不良のために欠席が続く場合には、ほかに何か原因があって不登校を起こしているのかもしれません。日本小児心身医学会の「不登校診療ガイドライン」にしたがって、医療機関に診療を任せましょう。

新起立試験でサブタイプが決定すれば、起立性調節障害の診断は確定します。次に心理社会的関与がないか、「心身症としてのODチェックリスト」を使って調べたのち、それらのデータを基にして、治療を行うことになります。
→治療へ

筆者注)
 ただし、主観的な症状だけで既にODに該当となり、それだけでODと誤診される場合があり、注意が必要である。飽くまで、血圧測定、脈(血圧上が21以上下がる、脈が20以上あがるなど)が決め手になる。やはり、素人判断でなく、専門医による診断が大切であるが、専門家が少ない。
久留米大学がくわしいが、九大、福大、一部の開業医(小児科、心療内科、精神科)にも専門家はいる。治療は、西洋薬では昇圧剤(リズミックなど)二種、漢方(苓桂朮甘湯、白朮天麻湯ほか)がある。効果は5割以上か。他には、十分な睡眠、特に就寝時間が大切・・・最近携帯・ゲーム依存などで午前就寝が多いがよくない。漢方、時には西洋薬(眠剤他)、昼間の運動、食事療法(甘いもの・・食べ物、、果物、アイス、ジュースなどはさける、野菜、肉を十分とるなど)の併用が大切となる。
あと、鑑別診断として、睡眠相後退症候群もあるので睡眠外来受診も必要である。
とにかく、一度専門医受診をお勧めします。小児科がもっとみてくれればいいのですが・・・・・
R3.2.4
文責 脇元 安