発達障害

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自閉症は脳の疾患と言われていますが、まだ確定したわけではありません。定説はまだないですが、脳CT、MRI等から所見はいろいろ見つかっています。神経心理学の立場からも種々の検査で異常が見つかっています。発達障害には自閉症、ADHD(注意欠如多動症)、学習障害などが含まれています。早期発見と訓練により発達障害が治っていく可能性が高いので訓練が大切です。感覚統合訓練などがあります。
 最近、成人型発達障害が問題になっています。ところで、それらに限らず、なかなか大人になれない人を発達障害と拡大して診断する風潮があります。こころが未熟ですから種々のストレスで適応できなくなり、種々の症状を呈する訳です。ある時はうつ病、躁鬱病、精神病様状態(未熟な医師から統合失調症と誤診されて長く抗精神病薬をのむ羽目になります)、人格の乖離(別人格になる)、引きこもり、時には暴れるなど種々の状態を呈します。時には境界例と誤診されることもあります。愛着障害もあります。治療は、ベテランの治療者からカウンセリング(無意識を扱わず、支持的カウンセリング中心、時には助言・指導もいい)もいいし、何より再訓練が大切です。ロールプレイもいいでしょう。運動もいい。自信がないですから、訓練により成功体験を味わうのもいい。気長にいくことです。薬はその時々で合う薬をうまく使っていきましょう。ベテランの治療者を見つけることがポイントです。

発達障害の検査について

 当院では2歳程度のお子様から大人まで田中ビネー、WISC、WAIS等、その他、お一人お一人に合わせて心理検査を提案し行っております。検査は主に臨床心理士が担当しております。
 

WISCについて (当院臨床心理士より)

≪WISC検査とは≫

WISCは、国際的に最も利用されているウェクスラー式知能検査の1つです。5~16歳までを対象にした検査で、通称”ウィスク”と呼ばれています。発達障害特有の偏りを調べることができるため、支援機関や教育現場でよく使われています。ただし、この検査だけで発達障害の診断を行うことはできません。2022年2月にWISC-Ⅳが改訂され、新たに第5版のWISC-Ⅴが刊行されました。これにより、知能の全体像や個人の知能の特徴について従来よりもさらに包括的な分析が可能となっています。

(参考:日本語版 WISC-Ⅴ テクニカルレポート ♯1)

≪WISCから分かること≫

WISCは、IQ(知能指数)により知的な遅れの有無を調べるだけではなく、「どんな認知の特性をもっているのか?」「何が苦手なのか?得意なのか?」「生活にどんな困難があるのか?」などを数値化し、具体的な支援の方法を考えるために使われます(市川,2018)。

例えば、聞く力に苦手さがあると、言葉を知っていても意味が分かっていなかったり、聞いていても覚えられなかったりということがあるかもしれません。見る力に苦手さがあると、状況が読めずに不適切な発言や行動をしてしまったり、物事の全体を捉えられなかったり、見ても覚えておけなかったりすることがあるかもしれません。推理する力に苦手さがあると、言葉を聞いて”あぁこういうことか”と言葉の定義を共有したり、物事を見て”あぁこうなっているのか”とその仕組みを理解したりできないことがあるかもしれません。素早く情報を識別し判断し実行する力に苦手さがあると、周囲のスピードについていけずに本来の力が発揮できないといったことがあるかもしれません。

≪WISC検査の活かし方≫

 認知特性を知ることで有効な支援の手がかりを得ることができます。得意不得意を知ることで”できない体験”を減らし”できた体験”を増やしていく関わりが可能となります。”できた””わかった”体験が”できるかもしれない””やってみよう”という意欲に繋がれば幸いです。

臨床心理士 吉田光智子