記憶について(1) 付録 一つの人生論
WM ワーキングメモリー
by樺沢紫苑博士 医学者 メモリーに強い学者 「覚えない記憶術」の著書あり
プレジデント 2021.4.30号22-29p 頭がよくなる習慣、バカになる習慣より
記憶は複雑な現象だが、今回はWM中心に紹介します。
脳には、WM(作業記憶)と呼ばれる作業スペースがあって、数秒から30秒だけ一時保存された情報を使って作業をおこない、終了するとその作業を消去している。
RAM:パソコンの一時情報保存と同じ。同時に処理できる情報は3つ前後といわれる。
そのため、ヒトの脳はマルチタスクが苦手で、一度に大量の情報を与えるとメモリ不足に陥り、頭がフリーズしたり、度忘れしたりする。類似した仕事を同時にすると作業効率が80-95%低下するという報告もある。
最近話題の発達障害、とりわけ注意欠損多動障害の子どもはこのWM機能が悪いらしい。
薬もいろいろ出ました。そこそこ効いています。前頭前野、帯状回、扁桃体、淡蒼球、小脳など病変がだいぶわかってきつつあります。
ところで、仕事を絞り込んで、WM領域を空けたら、記憶力だけでなく、仕事の能率もさらにアップする???
WMを空ける秘訣:
アウトプット:作業記憶のデータを脳外にアウトプットすることが大切。その日のスケジュールや行うべき仕事内容 などの情報を「 to do list 」に書き出すことが有効。結果、仕事がはかどる
仕事場を整理整頓することも大切
また、散らかっていると、様々な雑念がわいてWMを占領し、作業能率をダウンさせてしまう。スマートフォンを机に置いているだけでも気になり、集中力が低下する。カフェで仕事や勉強をする人が多いのも、身の回りに余計なものがないので、集中できるから。
脳に良質な情報をインプットする方法:
最も有効な手立ての一つが読書:
例:月3冊読み、読後感をメモする、すなわちアウトプットしておくとよい。
読書の際のインプットの効率を高める方法
例:実用書 最初に目次だけでも目を通す 目次同士の関連がわかり、賢くなれる?
発想力を高めるには様々な情報や知識を記憶するだけでなく、美術や音楽、演劇といった芸術に触れることも大変重要となる。
理論脳(左脳)と感情脳(右脳?)
私たちは仕事や勉強をするときは理論脳を使っているが、芸術を鑑賞するときは普段はあまり使わない感情脳を使っている。その結果、脳が満遍なく刺激され、発想やひらめきが生まれやすくなると考えられている。
発想力が強まると・・・・・学力の向上につながる。知能はやや低いが創造性の高い子は、知能は高いが創造性の低い子より学校の成績はいいという研究もある。
実は記憶力がいい人は・・・・・
アウトプットを大切にしている!!
例;書いて覚える。
そもそも記憶はアウトプットとインプットの繰り返しで行われている。
特にアウトプットが大切。覚えたことを人に話すのもいい。
書くのもいい。日記をつけるのもいい。
インプットとアウトプットの比率
正解はアウトプットにより時間をかける、でした。インとアウトの比率は3対7がいいらしい。復習が大切なのですね。
意味記憶とエピソード記憶
意味記憶は単なる情報、例えば文字や記号の組みあわせなど。エピソード記憶とは意味記憶がストーリーを伴った記憶に変換された結果の記憶を言う。先に紹介した、人に話す、日記をつけるなどがよいといわれる。復習が大切。
アウトプットを習慣にしよう!!!
想起:recall
アウトプットの習慣をつけると想起がよくなる。
頭がよくなるには??
要は、いかにエピソード記憶に変更していくかである。意味ある記憶にしていこう。記憶同士の連関ができること、と筆者は呼んでいる。WEBみたいに頭のなかで種々の記憶がまとまり、連関していくわけである。すると、頭は途端によくなる。当然、ベースに膨大な基礎知識は大切である。小・中・高と私たちはいかに多くの時間を勉強に割いてきたことか!!
例; 日本人はなぜ英語がへたか??
理由はいろいろあるが、要は語彙不足、文法不足、必要性を感じないなどである。
基礎がないわけである。英語が上手になるには、必須例文をおそらく1000ぐらいインプットしておかねばならないでしょう。七田先生がこの領域に詳しく、今、彼の息子さんが七田式勉強法の普及に努めておられるとか。そのうち、紹介できるかもしれません。
記憶のプロセス:
理解、整理、記憶、反復
これはわかりますね。まずは物事を理解する、次にそれらの知識を整理して頭にインプットする、すなわち記憶する、それらを日々反復して記憶を強固にしていくということです。
何よりも大切なことはなにか??
知識を愛することです。読書を飯より好きになることです。頭のいい人、成績のいいひと、社会的に成功した人たちの大部分は気の遠くなるような努力をしています。本大好きです。
本の虫です。
しかし、スポーツなら努力をするアスリートを世間はほめたたえるのに、ひたすら勉強する人をほめません。がり勉とか言って揶揄します。なぜでしょうか?
それは、自分だって時間さえかければあれぐらいできるさ、とうそぶいて、結果努力をしないからです。負け惜しみでしょうか。世の中、結果がすべて、記憶のメカニズムを知ってひたすら努力しましょう。凡人こそ努力が必要です。自分を愛して、努力しましょう。
「1万時間の法則」というのがあります。どの分野でも1万時間かければいっぱしのことが達成できるというものです。ある作家がすでにこの法則をいっています。
1日2時間やって、14年かかる?? あなたは頑張れますか???
筆者はあるゲームに60年間でおそらく2万時間かけてきたが、まだまだであるが、上の下まではいけた。途中何回もあきらめかけたが、ここであきらめたら、今までの努力は無駄になると思い、結果、何とか続けてきた。やめなくてよかったと思う。継続こそ力なり、ではある。
皆さんもあきらめないで、自分を信じて好きなこと、やりたいことに挑戦していってください。短い人生、まごまごしていると、タイムオーバーになってしまいますぞ。生きているうちが花、死んで花実は咲きません。明日があると思わず、今日できることをぼちぼちやっていきましょう。「継続こそ力なり」
追記: 「ドラゴン桜」が始まりました。ぶすとバカは東大を目指せ、と弁護士役の阿部寛がのたまい、若い人を鼓舞していきます。
皆、頭はそうかわらない。では、なぜ、大人になって差が出るのか? 私はそれを研究してきました。要は、自分が好きかどうか、自分を自分の将来を信じられるかどうか、いつも楽天的でおられるかどうか、でしょう。神仏のご加護を信じられる人も人生はうまくいきます。私は神に天に守られている、と思える人は人生をうまく漕いでいけるでしょう。逆はどうでしょう。私は神様を恨みます、私なんか生まれてこないほうがよかった、何も取り柄がない、親を恨みます、人生なんてつまらない、早く死にたいという人が最近多いような印象があります。はたして、それは正しいことでしょうか?
「五体不満足」を書いた乙武氏は人として生まれて自分は幸せだったと述べておられます。五体満足の私たちはどうでしょうか。不満ばかり言ってまっとうに生きていないのではないでしょうか。人として生まれた、それこそ天の最大のプレゼントなのに、それがわからず、他人と比べて、ここが足りない、もっときれいに生まれたかった、身長が足りない、金もない、とぼやいてばかりの人生を歩んでいるのではないでしょうか。自分のプラスの面をもっとみましょう。自分をほめる、これがまた日本人は苦手のようです。小さい時から余り褒められて育っていないせいでしょうか。もっと自分をほめましょう。自分をけなさないようにしましょう。どうせ、を使わないようにしましょう。
参考: 筆者は50歳過ぎに突然本を書き始めた。この理由はせっかく覚えた知識を
若い人に書き残すという目的だったが、結果は?
なんと私の頭はよくなった!!!
50歳過ぎて欧州の言語を二つ覚えた。仏、伊語である。
書く行為がいかに脳にいいかの傍証になるかもしれない。年齢は関係ないのかもしれない。心、情熱があるかないかの差なのかもしれない。
それと、自分のためではなく、人様のために行うことが脳にいいのかもしれない。脳のメモリーは実は無尽蔵なのかもしれない。挑戦する気持ちが大切でしょうか。
けっぱれ !!です。
4.19.2021 改変 5.17.2021
文責 脇元 安