カサンドラ症候群について

カサンドラとは、ギリシャ神話に登場するトロイの王女の名前である。カサンドラは予言者だった。

太陽神アポロンの愛を拒否したカサンドラが怒り狂ったアポロンからカサンドラの予言を誰も信じないという呪いをかけられ、実際、彼女の予言を誰も信じなくなったということに由来している。

カサンドラ症候群とは、医学用語ではないが主にアスペルガー症候群(AS)の夫(時に妻)を持つ妻(時に夫)が陥る心理的状態として最近知られるようになってきた。

その状態とは、夫婦間の心の交流(コミニュケーション)がうまくいかず、自分の気持ちをわかってもらえないことに遂には絶望し、また、世間的にはまともで何も問題がないように見える配偶者への不満を身近な人に打ち明けてもなかなかわかってもらえない。
その結果、ますます自分を責めるようになり、不安障害、うつ状態、心身症、時には自暴自棄になり、破壊的行動がみられる等の精神身体的な症状を呈するという仮説である。

治療については、カウンセリングを受ける中で、自分に非がないことに気付き、カサンドラ症候群に陥っていることを理解し、自分の症状を客観的にみることが重要である。そして、アスペルガー症候群の心理行動特性を理解し、以前よりも冷静に対応できるように学んでいくことも効果的である。         
 

文責 脇元 安