運動のすすめ
脳を鍛えるには運動しかない:
ジョン・レイテイ著
訳)野中香方子 NHK出版
運動の効能はあちこちで書かれ、運動はいいことだと以前より勧められている。糖尿病、肥満、生活習慣病他の治療にそれはうるさいほど書かれている。その効能は、やせる、代謝がよくなる、体重が減る、
免疫が上がるなどである。
ジョン博士は運動の効能を脳の科学から述べている。
まず、気分がすっきりするからという。なぜか。
ふつうは ストレスが解消されるから、
筋肉の緊張が和らぐから
脳内物質のエンドルフィンが増えるから
などが挙げられる。
彼は、運動で爽快な気分になるのは
心臓から血液が盛んに送られ脳がベストな状態になるからだという。
それは、脳を育ててよい状態に保つためだという。
彼は続けて現代人は科学文明に支配され、動物であることを忘れ、
動かなくなっていると警告する。しかし、人間は昔から身体能力を磨き、施行する脳を進化させてきた。
今のような動かない生活を送り続けると人間本来の性質を壊し、人類という種の存続を脅かしているという。
肥満、糖尿病の蔓延がその証拠という。年寄りだけでなく、若い人にも広がっている。自分で自分の首を絞めているともいえる。
動かない生活は脳を縮ませているともいう。
脳と体:彼は脳と体の結びつきを若い時から研究し、精神科の疾患を運動で治すことを専門に研究してきた。
今までは、たとえばうつ病はセロトニンが関係している程度しか知られていなかった。しかし、現代医学はもっと先に進んでいる。
例えば、うつ状態は長引くと脳の一部が縮むこと、しかし、運動をすれば神経化学物質や成長因子が次々に放出され、このプロセスを逆行させ、脳の基礎構造を物理的に強くできること、それを大抵の人は知らないともいう。脳はいわば筋肉と一緒で使えば育つし、使わなければ萎縮するという。ニュ-ロン(脳の細胞)は枝先の「葉」を通じて互いに結びついている、運動をすると、これらの枝が成長し、新しい芽がたくさん出てきて、脳の機能がその根元から強化される。
中略
遺伝子レベルでも体の活動が心に影響することがわかってきた。
筋肉を動かすとたんぱく質が作り出され、血流に乗り脳にたどり着き、高次の思考メカニズムにおいて重要な役割を果たすことがわかってきた。たんぱく質群には、インシュリン成長因子(IGF-1)や
血管内皮成長因子などがあり、次々に他の因子も見つかりつつある。
脳はすべてを支配している。
運動は体にも心にもいい。その理由は先に述べた。
運動の大切さは次回に詳しく述べる。
R2.3.8
文責 脇元 安