愛着障害について(3)
愛着障害については今まで2回ほど述べた気がする。私はこの言葉にどうも馴染めない。
Attachmentという有名な言葉がある。これは、ボルビーが言い出したものだが、彼は、生後間もなくから2,3歳頃の母子関係の観察から、子どもの発達にはattachmentといわれる濃厚な愛情あふれる母親の献身的なかかわりが必須ということを再発見した。逆に、母から子どもへの愛情が不十分であると、例えば、無視(ネグレクト)、暴言、暴力、食事を与えないなどのDVその他があると、その子どもの精神発達はもちろん、身体発達も不十分となるというもの。
有名な例では、チャウチェフスク
政権下で母を亡くした子どもたちの、海外への里子研究がある。立派な施設で養育母と言われる専門的な介護者に育てられた子どもたちはどうなっただろう。結果は悲惨なものだった。精神面、身体面どちらも発達がうまくいかなかった。ただし、同じ養育者に育てられた子どもたちの発育はそう悪くなかったという。一方、知的に問題のある母に育てられた子どもの発達はそう悪くない。
以上をまとめると、子どもの発達には生みの母の愛情と献身的な世話が必須ということでしょうか。
反論:昔の貴族の母は産んだ後は乳母にすべて任せて、結果はそう悪くなかったという。生みの母が必ず育てなければならない、というのは工業社会(近代社会)の女性蔑視
の顕れではないだろうか? ジェンダー論
女は家に引っ込んでおれ、では?
愛着障害とは、母からの十分な愛情が足りなくて、その子が大き
くなって、不安定のままで成熟した対人関係を作れないというも
の。安全基地を持てない人ともいわれる。
ここまでは以前述べている内容だ。
今回は愛甲修子「愛着障害治りますか?」
からその対策を紹介する。
彼女は、自分が自分であることを祝福されなかった、つかみどころのない不安と、いつも一緒に生きてきた、生きづらさを抱えている人たちの中に愛着障害の問題があり、それに気づくことが大切だと言っている。
愛着障害はこれまで治すことが難しいものであったが、「愛着関係もまた発達していく」と認識することにより、いくつになってもその階段を登りなおすことができる。世界と安定した関係を結びなおせるということがわかってきたという。
彼女は驚くことに、愛着障害の始まりの時期は各種あり、胎内の
その起源がある場合もあるという。これはどういうことだろう。
彼女は
いつ背負った愛着障害か
のアセスメントが なおる につながると言っている。
また,愛着障害は誰のせいでもないという。
愛着障害の治療はその発生時期の分析から始まる。
胎児期からであればその時期からの育てなおしによって、これまで治らなかった難治性の精神症状が治っていっている。
胎児期の発見は重要な出来事であった。
ここで、有名なマーラーの発達モデルを紹介する。
ゼロ歳から 胎児期 出生期、自他未分化、共感期、
後追い期、移行対象期、内在化期
である。生後間もなくの母との一体期から段々母から分離していく
心の発達段階が見事に説明されている。飛び越しはなくて、下から徐々に一歩ずつ登っていくのである。
治療は、問題のある段階を見つけて、そこからやりなおす事になる。例えば、不登校で分離不安のある子どもは母に協力
してもらって、発育をやりなおすことになる。そして、分離不安を克服できた子どもは登校できるようになる。
動物では一人前になる時期は早いが、人は時間がかかる。そのため、母の役割は非常に大切となる。逆にそこに愛着障害の芽があるわけであるが。
愛着障害のある人は世の中に安心感を持てず、常に「見捨てられ不安を持っている。これの起源として、胎内にいる時に使用した恐怖麻痺反射が体外に出ても残っていると言われる。だから、上に述べた不安が出てくるというわけ。
治療は 言葉以前のアプローチが効果的である。
イメージ療法
つづく 2020年2月8日